2012-05

君に恋をして… 5

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会長に案内されて食堂に行くと
たくさんの視線が向けられる。
会長と真也と歩いていると視線が
多い気がする。
そう思いながら歩くのがはやい、会長と真也の
後を小走りで付いて行く。

「上城さん…っ」

後ろから低くてしびれるほど美しい声で自分の名字を呼ばれ
名字で呼ばれたことから、小野原だと思い
振り向こうとしたが、小走りで走っていた為か
何もないところで転んでしまう。

「い…っ 」

転んだ機みに膝を打ってしまい体に痛みが走る。
長ズボンの制服の下では血が出ているかもしれない。

「大丈夫、上城さん! 
 怪我したんですか!?」

沙希は痛みのあまり涙目になりながらうなずくと
体がふっと持ち上がり驚いて目を見開く。

「あ…」

涙でゆがんだ視界に目を凝らすと、すぐ近くに美しい
小野原の顔があり、驚いた。
小野原にお姫様だっこされているのだとわかり
身をよじるが、力強く腕で抱かれていて
彼の腕の中から抜け出せない。

「小野寺さん、歩けるから降ろして…」

「ダメ。降ろしません。 保健室に連れて行きます。
 けがしているんでしょう?」

沙希は、先ほどまで身をよじって腕の中から抜け出そうと
していが、小野原の、少し強引だけれど暖かい優しさが
うれしくて、腕の中から抜け出すどころか、ずっと
この腕の中にいたいなんて思ってしまった。

「あ…、ごめんなさい!強引過ぎましたか?
 まさか、泣くほどいやとは思わなくて…」

先ほどとは違いおろおろと小野原が言い、
沙希は自分が泣いていることに気がついた。

「…、ごめんなさい。いやなんじゃなくて
 うれしくて…、ありがとうございます。」

沙希は涙を流しながら理由を言うと、小野原は
少しびっくりしたような顔をしたが
すぐに笑顔になり「そっか」といい、沙希を抱く
腕の力を少し強くして微笑んだ。

その眩しいほどの笑顔が眩しくて沙希は
目を閉じて口元を綻ばせて見せた。
目を閉じてみると、小野原の温かさを目をあけている時よりも
より強く感じて、安心できた。

今まで味わったこともない安心感に沙希は脱力し、
それと同時に眠気が襲ってきた。

僕は疲れていたのだろうか…

そんなことを思いながら沙希は眠りの世界へと
落ちて行った。


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